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小さなチーム、大きな仕事

心が揺さぶられるような一冊です。

心の中では「?」と思いつつも会社や集団の中に入って働いていると、何気なくしたがってしまう習慣や思考パターンってありませんか?

この本は、ベースキャンプやRailsを生み出した37Signalsが、そうした常識にとらわれず、どうすれば自らの価値を最大限に発揮できるかについて記した本です。

まず彼らは、古典的なビジネスの手法や社内での作業のすすめ方を、すっぱ抜く。

長期のビジネスプランは幻想、占いの世界だ。マーケットの状況、競合他社、顧客、経済などの手におねないたくさんの要素があるのに、計画を作っただけで、実際には制御できないものをコントロールした気になる。

予想をたよりにしては行けない。今年ではなく、今週することを決めよう。次にやるべき最重要課題を見つけだして、取り組むのだ。何かをするずっとまえではなく、直前に決定を下そう。

仕事依存症患者は、ほどよい時間しか働いていないという理由で、遅くまで居残らない人たちを能力にかけているとみなす。これは罪悪感と士気の低下をはびこらせる。さらには実際には生産的ではないのに、義務感から遅くまで居残るような「座っていればいい」というメンタリティを生み出してしまう。

ほかのなによりも最悪な邪魔者は会議である。理由は以下のとおり。
・会議は実際のものではなく、言葉や抽象的な概念に関するものである。
・一分あたりのごく少量の情報しか伝達しない。
・会議の主題は吹雪の中のシカゴのタクシーより容易に道からそれる。
・会議には厳密な準備が必要だが、いつも不十分だ。
・誰も目的をはっきりと知らないくらいあいまいな議論が用意されている事が多い。
・会議にはしばしば全員の時間を無駄遣いするために必ず自分の番を得るバカが最低ひとりはいる。
・会議は会議を生み出す。ひとつの会議がもうひとつ別の会議につながり…

もちろん、人を雇うときにある程度の経験が指標になることもある。半年から一年の経験が
ある人を雇うのは確かに意味がある。専門用語に慣れ、物事がどう動くかを学び、関連する
ツールを理解するにはそれくらいはかかる。
だがその後、成長曲線は平になる。驚くべきことに半年の経験と六年の経験は大差ない。本当の差は、応募者自身の熱意や個性、知性に表れる。
それをどのように測るのか?五年の経験とは何を意味するのだろうか?もし数年前から、週末に個人的に勉強していたら、それは経験のうちに入らないのだろうか?しかし会社はそれを確かめようもない。
経験の長さは過大評価されている。大切なのは、どのくらい質の高いことをしていたのかだ。

そして、むしろ直感的に自ら本当に納得できるやり方を、勇気をもって行うことが大事だと言う。

すごい製品やサービスを生み出す最も単純な方法は、あなたが使いたいものを作ることだ。自分の知っているものをデザインするのなら、作っているものがいいかどうかすぐに判断がつく。僕たちに必要なものを作ったまでだ。
37シグナルズでは、僕たち自身のビジネスに必要な製品を作っている。たとえば、僕たちは誰と話したか、何を話したか、次回はいつフォローアップする必要があるかを管理する手段が欲しかった。そこでコンタクト管理ソフトのハイライズを作った。フォーカスグループも、マーケット調査も、仲介者も雇う必要がなかった。
製品やサービスを作るには、毎日何百もの小さな決断を下さなければいけない。他人の問題を解決しようとするのは、暗闇の中をむやみに進もうとしているのと同じだ。解決しようとしているのが自分自身の問題であれば、足下は明るく、どれが正しい答えかわかるはずだ。

時には畑違いを痛感するかもしれない。全然うまくできなかったとくさることもあるかも知れない。それでもいい。その感覚を自分で学びながら克服するのか、他人を雇って克服するかの違いだ。まずはやってみること。最初の試みを後であきらめることになっても、得た知恵は何倍もの価値となって戻ってくる。
それにビジネスの全面に密に関わるべきだ。でなければ、他人の手に自身の運命を預けることになる。それは危険なことだ。

チーム全員が顧客とかかわりをもたなければならない。もちろんいつもではなく、年に二、三回でもいい。これこそ、チームが顧客の気持ちを理解する唯一の方法だ。顧客の不満を共有すれば問題を解決する気になるし、顧客のうれしさが伝わってくれば、大きな刺激になる。
よって、製品を作る者を顧客のフィードバックからかばってはいけない。直接の批判はみんなで受けとろう。
顧客と接する暇などない、と思っているなら、その暇を作らなければいけないのだ。クレイグリストのクレイグ・ニューマークは、いまだにサポートのメールに(数分以内に)対応している。彼はみずから人種差別的なコメントをフォーラムから削除したり、現実に存在しない物件の宣伝があれば不動産協会に苦情を申し立てたりしている。彼のような有名な人でも顧客に対応できるなら、あなたにもできる。

そして、単にものやサービスを作るだけでなく、そのプロセスや背後にある思想やスタイルを発信することで、誠実さやビジネスのアイデンティティをアピールし、「ファン」や「観客」を獲得できるという。

今日、時代の先端を走る会社は、もっとよい方法を知っている。人々に手を伸ばすのではなく、人々に来てもらうようにするのだ。観客というのは、時々あなたのところに自分から舞い戻ってくる。これが、一番理解ある顧客であり、一番の見込み客と言えるだろう。
昔ながらの方法で十万人に毎日連絡するにはいくらの金があっても足らない。何万ドル?何百万ドル?実際どういうアプローチを使うのだろうか?広告?ラジオのスポット?ダイレクトメール?
観客をつくるということは、彼らが興味を持ってくれるということであって、人々の注意を買うのではない。これは非常に大きな利点だ。
だから観客を「つくる」のだ。話す、書く、ブログを書く、ツイッターでつぶやく、映像を作る、何でもいい。価値ある情報を共有し、ゆっくりと、だが確実に忠実な観客を獲得するのだ。そうすれば、何か言いたいときにも、しかるべき人たちがすでに聞いてくれている。

教える事で、従来のマーケティング戦略では不可能だった新しい関係を築くことができるだろう。雑誌やバナー広告を使って人々の興味を引くのも一つの手ではあるが、教えることにより顧客の忠誠度を高めることで、まったく違ったつながりが作られるのだ。信頼も増し、尊敬さえしてもらえるだろう。たとえ彼らがあなたたちの製品を使わなくても、ファンでいてくれるだろう。

人はビジネスがどういうふうに動いているかについて興味津々だ。だから、工場見学や、映画の舞台裏のドキュメンタリーが好きなのだ。セットの組みかた、アニメーションの作り方、監督のキャスティングのしかたまで、いろいろ見たいと思っている。彼らは、他の人がどのように、そしてなぜそうしたのか知りたいのだ。
人々を舞台裏に導くと新しい関係が生まれる。彼らはつながりを感じ、顔の見えない企業ではなく、あなたを人間として見てくれるようになる。彼らは製品やサービスに捧げられた汗と努力を見るだろう。そして、彼らはさらに深い理解や評価をしてくれるだろう。

この本に書かれている内容がなぜこうも明快で鮮明なのかというとやはり、BasecampやRailsという産物を生み出した過程から抽出された言葉だからでしょうか?

やり方を知っているだけではビジネスを実現できず、優れたデザイナーやプログラマが実際に試行錯誤を繰り返す必要があるということと、スタイルや思想は模倣には価値がないということから、シェフがレシビを公開してもだれも競合できないように、彼らがこの本を出版しても同じような企業はあまり現れないのではないかと思うものの(ボタンを少なくしアニメーションを加えても、Androidはiphoneにならないのと同じ)、新しいインターネット時代のおもしろいビジネスのスタイルとして注目されそうな気がします。

Posted in Technology, business.

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